食肉類は、家畜(牛、豚、羊、馬など)、家禽類(鶏、アヒル、うずらなど),家兎類および鯨肉などの骨格筋を食用に適するように加工処理(と畜、熟成、枝肉加工など)を行う。(1)牛肉①分類・種類 食肉専用の品種として、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種、ヘレフォード、アンガスなどがある。輸入牛肉は凍結輸送されるフローズンビーフや真空包装後、-2~0℃で保持されるチルドビーフに分類される。また、生後10ヶ月未満の幼齢牛の肉を仔牛肉、6ヶ月未満をビール、6ヶ月以上9ヶ月未満のものをカーフと呼ぶ。②成分 牛肉の成分は、その成長過程により脂質、タンパク質および水分などの組成比が変動する。一般に幼牛は脂肪が少なくタンパク質が多いが、成長に伴い脂肪が増加し、タンパク質、水分が減少する傾向にある。また、部位によっても成分組成が異なる。牛肉に含まれる鉄はヘム鉄の形で含まれるため、植物性食品に含まれる非ヘム鉄に比べ吸収率が良い。③利用法 カレー、シチューなどの煮込み料理やステーキ、すき焼き、ローストなどに利用される。舌(たん)、心臓(はつ)、肝臓(レバー)、第一胃(みの)、第三胃(せんまい)など内臓類も利用される。(2)豚肉①分類・種類 用途によって中ヨークシャー、バークシャー(ミートタイプ:生肉用)とランドレース、大ヨークシャー(ベーコンタイプ:加工用)およびチェスターホワイト、デュロック(ラードタイプ:脂肪型)とに大別される。②成分 豚肉はどの部位においても比較的脂質が少なく、チアミン、リボフラビン、ナイアシンおよびトコフェロールを豊富に含む。品種や部位によって成分組成や肉質が異なる。③利用法 カレー、シチューなどの煮込み料理やとんかつ、焼肉などに利用される。(3)鶏肉①分類・種類 日本では肉用鶏としてブロイラーと地鶏に大別される。ブロイラーは白色コーニッシュ、プリマスロック、ロードアイランドレッド種などを品種改良したものである。②成分 鶏肉にレチノールが比較的多く含まれる。脂質は牛肉や豚肉と異なる脂肪酸組成をしており、飽和脂肪酸が少なく不飽和脂肪酸が多い。牛や豚肉同様,部位によってタンパク質,脂肪の組成比および肉質が異なる。③利用法 カレーやシチュー、揚げ物、焼肉などに利用される。(4)羊肉①分類・種類 成羊肉をマトンと呼び子羊肉(生後1年未満)をラムと呼ぶ。肉質はマトンよりラムの方がやわらかく風味も良い。日本で消費される羊肉はほとんどが冷凍または冷凍輸入肉である。②成分 羊肉には脂質の代謝に関与するカルニチンが含まれるのが特徴である。また,飽和脂肪酸のステアリンを多く含むため、冷めると固まりやすく消化されにくい。またマトンの独特の臭みはオクタン酸とノナン酸に由来する。③利用法 焼肉,ジンギスカンなどに利用される。(5)馬肉①分類・種類 馬肉は欧州、特にフランスではよく食べられている。日本で食べられる馬肉は国産のものより米国やカナダからの輸入ものが多い。②成分 馬肉の脂質は、不飽和脂肪酸が多く含まれ融点が低い。牛肉より鉄含有量が高いのが特徴である。またミオグロビン含有量が高く空気に触れるとミオグロビンが酸化型となりきれいな桜色を呈する。③利用法 馬刺し、焼肉、ステーキなどに利用される。(6)鯨肉①分類・種類 主にミンククジラやツチクジラなどが食用とされる。鯨肉は一般に赤みを帯び柔らかく味が良い。また鯨は頭の先から尾まで食用とされ、特に尾肉は牛や豚のロースに匹敵する部分で最も味が良い。②成分 鯨の種類や部位によって成分含有量が異なるが、タンパク質はミンククジラの赤肉で24.8%、尾肉で23.9%である。また鯨肉は魚介肉に匹敵する多価不飽和脂肪酸を含む。③利用法 ベーコン、刺身、ステーキなどに利用される。